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2019年12月 7日 (土)

WEB句会 2019年11月の入選句

11月の入選句発表!

いつもWEB句会にご投句いただき、ありがとうございます。

川柳は五七五のたった十七音です。いろいろ伝えたいことがあるのは解りますが、それをすべて説明するために言葉を詰め込むのは、物理的に非常に難しいことです。たとえ出来たとしても、切り刻まれた残骸のようになっていて、読者がそこから作者の意図を再構成することは、更に難しくなります。要するに、訴えたいことは一つにして、シンプルに構成することが重要になります。特に、句会のように多くの方々の作品が競われる場では。
シンプルにと言うと凡庸になりがちですが、そこは腕の見せ所。シンプルに易しい言葉で深いことが表現できれば最高です。

さて、「鳥」の特選句。鳥ではなくなった今、「鳥だった記憶」を持つことの残酷さに思いが至ります。その記憶を消そうとして、もがき苦しむ中でふと思うのです。こんなに辛いのに消えてくれないなんて、もしかしたら自分は本当は消したくないのかも。その記憶は苦しみの根元であると同時に甘美な幸福の断片も存在するアンビバレンスなのでしょう。幸福であった故に辛さも増してしまう・・・そんなどうしようもない哀しみを感じました。

「問う」では自問の句がたくさんありましたが、そこにどんな具象を使うかが勝負だったと思います。特選句は「川」。川はそこで暮らす人々の生活に欠かせぬものであり、生業を支えていたり、憩いや癒やしの風景であったりします。ところが、日本列島では昨年に続き今年も豪雨による川の氾濫で多くの災害が発生しました。そのシリアスな記憶がこの句の底流にあると考えます。右往左往する人間たちのすぐ隣を流れている川。ゆっくりと曲がることが大いなる川の意志であるとすると、この川の問いに人間は答えられるのかどうか。スケール感のある深い作品だと思いました。

特選の方には、ささやかな記念品を贈呈いたします。よろしかったらご連絡ください。

 

「鳥」
入選
カナリヤのままで十分生きてきた 彦翁
鳥籠の孤独わたくし好きでした 泰子
鳥かごに片足いれて来る男 冬子
ふりかえる君 ふりかえらない鴎 冬子
梟に恋していつもすれ違い ひろ子
鳥三羽 仲間外れの予感あり
スズメさんお前の自由欲しかった 日出夫
鳥だった頃の話で夜更けまで 椎太
こっそりと始祖鳥を飼う小引き出し 椎太
引き出しの辞表は鳥のにおいする 良仁
黙らないで小鳥になってしまうから 良仁
文鳥の卵詰まりのような死だ
夜の鳥である寂しい鳥である
ペンギンは空を見ないと決めている 葉火
猛禽類の姿になって終わる恋 俊和
特選
鳥だった記憶消せぬか消さぬのか

 

「問う」
入選
Siriに問う あした地球はありますか
君の問いに答えられない大人たち ちなみ
意地悪な問いは相手にせぬパンダ
絶対に聞けば答えてくれる母 やんちゃん
問3で別れた妻が笑ってる 良仁
生き方を二択で問うてくる若さ 橙葉
初日の出 問いかけてくる責めてくる
人生を問うて欠伸をする男 泰子
生き方を問えば結局腹が減る 福多郎
問うことをやめて漕ぎだす夜の櫂 理惠
詰問のかたちで陶器焼き上がる 椎太
罪を問う雲一片また一片 椎太
どこまでも問いかけてくる白い傷 ひろ子
問いかける無言の笑みの重い夜 ひろ子
いきさつを夜汽車の揺れが問い返す まこと
問うたびにひと呼吸する信号機 まこと
問うことも答えることもない日暮れ 俊和
特選
ゆっくりと曲がって川は問い続け 椎太

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